一類の学生へのメッセージ

化学のすすめ

  〜化学へのいざない〜

 私たちの身のまわりは原子・分子に満ちています。呼吸を通じて私たちがやり取りしている酸素、二酸化炭素に始まり、何光年のかなたでひそかに息づいている星間分子も然りです。そもそも私たち自身も原子・分子の集合体であり、生命活動そのものが化学反応の集積と言っても過言ではありません。化学という学問は、こうした分子集団の営みの法則を解き明かすことを目指しており、物質に関するすべての科学の基盤となる体系です。将来、皆さんがどの科学分野に進んでも、化学の素養が幅広く役に立つはずです。
 実際、対象はきわめて広範です。単原子分子からタンパク質などの巨大分子、また超微粒子(サブナノメートル)から結晶(可視)に至るまでの物質を網羅し、生命体、地球、宇宙など広範な時間的、空間的広がりを持っています。特異な性質(超伝導、強磁性、光機能性など)を示す物質など、自然界や人間社会の中で重要な役割を果たすものは数え切れません。化学の第一歩は、こうした機能の基礎となる、電子のふるまい、分子構造、化学反応の本質を理解し、そこから物質の性質や機能を解明することです。
 さらに、化学の醍醐味はそうした基本的理解が有用物質の設計、合成につながることにあります。また、物質には本質的に二面性があり、環境に悪影響を及ぼすものもありますが、これらを無害化する、あるいはリサイクルして有用物質に転化することも、化学に託されたテーマです。

  〜研究分野〜

 化学科では、将来皆さんが身につけた幅広い素養を縦横に駆使し、様々な分野のフロンティアを切り開いていけるよう願っています。学部の教育では、大きく物理化学、無機・分析化学、有機化学の3分野に分け、体系的な学習カリキュラムを用意しています。
 2年次には各分野の基礎、3年次にはそれらの発展学習として、物質の構造、性質と反応を学びます。また、学部時代に物質を実際に合成し、それを注意深く解析する経験を通し、確たる物質観を養うことを重視しています。学生実験はそのためのものです。最終学年の4年次では、各研究室に所属し、卒業研究を通じ、化学研究の最前線に立つことになります。つまり皆さん自身が、世界で初めての実験を通じて、新たな現象を見つけたり、ユニークな化合物を合成したりすることにより、教科書を書きかえる側になるのです。

  <物理化学>

 様々な物質の性質やその利用方法について、根本的原理にまで遡って検討を行っています。このために、分子の設計開発、測る方法の開拓、それを用いた分子の計測を行っています。

  <無機・分析化学>   

 様々な元素を用いる錯体や固体について、その合成方法や構造・物性、その利用方法を研究しています。また、溶液化学に基づく分離手法開発や、環境分析などの分析手法を研究しています。

  <有機化学>   

 現在知られている何千万種に及ぶ物質の大部分は有機化合物であり、生命科学から材料科学まで広範囲にわたる物質科学において、有機化学の果たす役割は重要性を増しています。目的に応じた機能・性質をもつ分子を設計し、自在につくり上げる方法論の開発、また、生命のはたらきの化学的解明など、これからの物質科学の基盤となる研究を行っています。

 化学のおもしろさは偶然性にあります。基本は、仮説を立て、実験をし、事実の積み重ねから、新たな概念や体系が築かれていきますが、その中で予想とは全く異なる結果が得られることは珍しくありません。むしろ、何かをまちがえたことから珠玉の発見がもたらされたことも多いぐらいです。だからこそ、基本を学んだ後は、思い切って斬新な仮説を立て、おおらかに挑戦し続けていくことが大事なのです。

  〜授業カリキュラムの一例〜

   〜1年生を対象とした化学科のイベント〜  

    4月上旬 学科オリエンテーション  
    5月上旬 学科紹介
    8月上旬 オープンキャンパス  
    10月中旬~下旬 学科紹介