東工大化学科について

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東工大化学科について

私たちの身の回りのすべては物質からなっています。そればかりではありません。私たち自身も物質からなっており、私たちの思考さえも物質の有り様の一つと理解されています。物質の有り様とその変化を根底で支配しているのは原子・分子、その集合体の構造と電子の振る舞いです。化学はこの“原子・分子の原理”を明らかにする学問であり、この原理に基づいて新しい物質を設計・合成し、新しい自然を作っていく学問です。その意味で、化学は自然科学の中心に位置する学問領域と捉えられます。

私たちが今日直面しているいくつかの問題を具体的に考えてみましょう。大きな問題として、

  • (1)地球・環境の保全
  • (2)クリーンエネルギーの創出
  • (3)ナノスケール材料の開発
  • (4)重大な病気の克服

等が思い浮かびます。(1)のCO2の排出、SOx、NOxが原因した酸性雨や環境ホルモンの問題を解決するには物質変換の原理に基づく化学の力が必要です。(2)について、例えば、究極のクリーンエネルギーとされる太陽エネルギーを利用して水から水素と酸素を作り出し、それを再び水に戻すことにより電気エネルギーを取り出す機構、そのエネルギーを蓄積する機構の確立は物質の多様性に基づく化学の発展を通じて可能となるものです。(3)が求めるものは、原子・分子一つ一つにそれぞれの機能をもたせよう、有用な機能をもつ分子集合体を原子・分子を自在に積んで作り上げよう、ということです。これは化学が目指す究極の一つの内容といえます。(4)は、具体的には遺伝子・タンパク質などの構造や機能の解明であったり、新薬の開発であったりします。全く化学を基礎とするものであり、原子・分子の原理を理解し、応用することなしに展開し得ないものです。

化学科では、このような原子・分子とその集合体の振る舞いを支配する原理を探求し、物質の個性、多様性をより深く認識するとともに、その原理を自在に応用・展開することを目的として教育・研究を行っています。カリキュラムでは、学生がこの幅広い学問を縦横に楽しむとともに、将来そのフロンティアを切り開いていけるように、化学を大きく物理化学、無機・分析化学、有機化学の3分野に分けて、体系的に学んでいきます。また、化学では実際に物質を手にして、新たな物質を作り出し、測定してみることが大事です。その意味から、学生実験や演習、4年次における卒業研究を特に重視しています。その経験の積み重ねが、 希望する物質を作り出す礎となり、小さな変化や異常も見逃さずに新現象や新事実を発見する感覚を研ぎすますものとなります。ほとんどの学生は、4年間の学部ののち大学院へ進学し、さらに研鑽を積んでいます。 研究の側面では、化学本来の実験・理論両面にわたる新しい手法を積極的に開拓するとともに、化学と境界を接する他の自然科学である物理学、生物学などの領域へも化学の特徴を生かして積極的にアプローチを行い、新しい手法を構築しています。これらの成果は、国内外に発信され、社会の文化、産業に貢献するとともに、国際学術交流の顕著な成果としても結実しています。 化学科の教官は、大学院理工学研究科化学専攻のすべての教官と物質科学専攻の理系教官から構成されています。このため、4年間の学部を終えた化学科学生は、大学院には化学専攻と物質科学専攻に分かれて進学することになります。これも化学という学問の豊かさ、拡がりを象徴するものです。

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